〔073〕御嶽山 (3,067m)
2009年06月07日(当時60歳)
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長野県木曽郡木曽町


標高差:1,238m
日本百名山』 三千mの天空回廊を楽しむ。
ウィキペディアより
  御嶽山は、北アルプスこと飛騨山脈の延長線上にあり、北アルプスに含めるという説もあるが、北側の乗鞍岳との間には稜線らしき峰々はほとんどないため、一般的には御嶽山は北アルプスには含まれないというのが定説である。しかし、間を横切る河川は1本もないのも事実であり、明確な結論は出ていない。 著名登山家でも意見は分かれている。 なお、ガイドブック等で日本アルプスを3つに分けて紹介する場合、中央アルプスの山数が少ないので御嶽山を中央アルプスと合わせて掲載されるケースが多々ある。 このため、御嶽山を中央アルプスの山と思いこんでいる人も数多く存在するが、中央アルプスとの間には木曽川が流れており、明らかに中央アルプスには属さない。
Road Map :中央自動車道を中津川ICで下りて、R19から県道473号線、白崩林道を経て中の湯に入る。
Route Map:中の湯から黒沢口コースにて八合目を経て、剣ヶ峰に至る。下りは三ノ池から黒沢口コースで下山する。
登り:4時間22分(剣ヶ峰まで)、登り:6時間42分(摩利支天まで
中の湯(六合目) 覚明小屋(七合目) 女人堂(八合目) 覚明堂(九合目) 剣ヶ峰
4:59 :46 6:42 8:47 :21
前日の移動
  小秀山登頂後は温泉で汗を流し、R473にあった ”太陽の丘公園”で車中泊とする。広い駐車場には
誰も来ず、綺麗なトイレもあったので、標高の高い”中の湯”の駐車場で車中泊するよりは良かったと思う。
高山帯の山は最高
  苦労して登るからには火山性の樹木ない山、森林限界を超えた高山帯の山に登りたいと思っているが、御嶽山は比較的簡単に登れる高山帯の山であり、裏切らない景観が楽しませてくれた。
今日は有意義な経験が出来た
  読図も出来ない身分で踏み跡の無い雪山に入って行ったのには大いに反省しているが、この反省は今後もしなくてはならない場面が出てくると思う。 兵庫の名も無い山に登ると記憶から消されてしまうが、今日の強烈な経験は安達太良、日光白根山に続いて忘れることは無い思い出になるだろう。
2009年の山歩き
  06/06     06/07
  小秀山 → 御嶽山。
剣ヶ峰 白竜避難小屋 摩利支天山 八合目 七合目 中ノ湯
9:40 −−− 11:41 15:05 15:59 16:40
下り:4時間55分(摩利支天から)
トータル:11時間41分(休憩時間を含む)
白崩林道終点、黒沢口コース登山口の広い駐車場。
我が車を含めて3台しか来ていない。 田の原からの
コースより標高差が大きいので人気がないのか。
”中の湯駐車場”近くで ”木曽駒ヶ根”付近から昇る御来光を
見ることが出来た。 今日は雲一つない良い天気であるが、
麓には雲海が広がっていた。
バス停休息所横にトイレがあったが、このトイレの ”くっさい!
こと。 太陽の丘公園で車中泊したのが正解だった。
4時59分に登山口を出発する。
中の湯温泉”はどこにあるんだろうと考えつつ歩き始めると
直ぐに出てきたが、営業はしていなかった。 御嶽山の山開きは
6月15日らしいので、それに合せて営業するのか。
針葉樹林帯の中、丸木で整備された道が続く。
気温は11℃、汗が出ない位の涼しさだ。
47分にて ”一ノ又小屋”のある七合目に着く。
山口県からのハイカーが休憩していたので少し話しをする。
三倉岳”の話しで盛り上がった。
R・Wに乗ると ”七合目”までエスケープ出来る。
”七合目”の ”行場小屋”を過ぎた辺りから
登山道は残雪に覆われる様になってくる。
登り途中から振り返ると中央アルプス、木曽駒ヶ岳、
空木岳、南駒ヶ岳の山々がシルエットで見えていた。
更に登って振り返り見ると左遠方に八ヶ岳も見える様になってきた。
裾野に広がる雲海が神秘的であではあるが、これがその内に上ってくるのだろう。
八合目からはまだ ”剣ヶ峰”は見えていない。 登りは”剣ヶ峰”に
直登し、下山はお鉢廻りをして ”三ノ池”からここに戻る予定。
1時間43分にて八合目の ”女人堂”に着く。 ”金剛堂”とも
言うらしいが、ややこしいので ”女人堂”で通すことにした。
ここで森林限界を過ぎて、どこを見ても大展望が得られるようになった。
八合目から登っていくと北アルプスの展望が広がって来た。
同定出来るのは有名山のこの程度。
乗鞍岳もここから見ると立派なアルプスだ。
徐々に斜度がきつくなってきたのでアイゼンを着ける。
この辺りで日焼け止めもたっぷりと塗っておく。
右手中腹に下山予定の登山道が見えている。
それにしてもハイカーが居ない寂しい登りが続く。
田の原登山口”の駐車場が見えてきた。
人気の登山口なので車が沢山停まっていた。
下を見ながら息を切らして登っていると、人の気配を感じて
横を見ると人が座っているのでびっくりした。
前方にハイカーが見えてきたが登りが遅い。 その遅いハイカーに
全然追い付かない自分が情けない。 山頂直下で追付いたが、
結構なお歳のご老人だった。
山開きを前にしてか、ヘリが何度も荷揚げしていた。
覚明堂休息所”が見えて来た。
盛んに屋根の雪下ろしをしていた。
石室山荘”の横を通り過ぎる。 やはりガスが上がってきた。
山頂に着く頃にはガスってしまうのか。
気持ちは焦っているが足は動かない。
3時間48分にて九合目、”三ノ池分岐”に着く。
”剣ヶ峰”までは50分の表示あり。
”休息所”はやばそうな所に建っているが、
きっと最高の御来光が見えるんだろう。
”剣ヶ峰”への登り途中から ”二ノ池”、”摩利支天”を見る。
”一ノ池”は尾根直下で見えていない。
”剣ヶ峰”へは直登しようとしたが、山頂から沢山の人が見ていたの
で諦めた。 前回、”地獄の階段”と思った程、足が上がらなかった
最後の登りを消化する。 9年前の若い時より今日の方が軽々と登れた。
”中の湯”からのハイカーはほとんど居なかったが、メインの登山口である
”田の原”からはハイカーが続々と登ってくる。
既にお鉢廻りを済まされて下山に入る人も数名居た。
4時間22分にて ”剣ヶ峰”(3,067m)に着く。
田の原から登った時には3時間だったので ”中の湯”からの方がは随分遠いのだろう。
ハイカーが多くウザイので、前回と同じく、神社裏の展望岩でお昼にする。
山頂の気温は8.5℃であるが、日差しが強く暖かい。
三千mの山でこんな光景を見るのは興醒めであるが、
元々が信仰の山なので已む無しか。
展望岩で20分休憩してお鉢廻りに入る。
”剣ヶ峰”から見た ”一ノ池”、”二ノ池”のブルーが綺麗だった。
地獄谷”からは硫黄臭い噴気が流れてきて、大きなゴォーゴォー音も
聞こえてくる。 こういうのがあるから火山性の山は楽しい。
(5年後の '14年9月27日にこの辺りから大噴火した)
”剣ヶ峰”を振り返り見る。
気が付けばガスは山頂までは上がってこなかった。
お鉢の稜線は雪が無かったが、途中から残雪を歩く。
程よく締まった残雪を歩く方が随分と楽だった。
天幕泊まりだろうか、重装備の若者4名とすれ違う。
ジジババと違い彼らは礼儀正しく道を譲ってくれた。
遥か遠くではあるが ”白山”が見えていた。
今日はどの山も天気がよさそうだ。
”二ノ池”を挟んで、お鉢廻りの ”剣ヶ峰”から丁度反対側に到達した。
お鉢から眼下に広がる ”賽の河原”と今日の目的地である ”摩利支天”を見る。
乗鞍岳はガスに隠れてしまった。
”賽の河原”に向けて残雪面を下って行く。
雪は適度に緩みアイゼンは要らない。
下って来た斜面を振り返り見る。
かなり下ったが ”賽の河原”まではまだ遠い。
この辺りまで来るとハイカーは少なく、たまに見掛ける程度。
下山に入るハイカーが多い中、俺だけが ”摩利支天”を目指している。
今、賽の河原”の上に立っているはずであるが、
雪に覆われて何も判らない。
下山に向かっているハイカー。
”摩利支天乗越”に登る途中から ”剣ヶ峰”、”お鉢”を振り返り見る。
”摩利支天乗越”にあった神社に着く。
6時間21分にて ”摩利支天乗越”に着く。
ここに ”摩利支天まで往復40分”の表示があった。
真っ直ぐ進めば ”濁河温泉”に向かう道となり、
ここを左に折れて ”摩利支天”に向かう。
”摩利支天”には小さなピークがあるだけと思っていたが、
ナイフリッジの険しい登山道となっていた。
少し下を歩く道もあるが、途中で残雪で閉ざさ
れており、ヤセ尾根を歩いていくことになる。
浮石が多く危なっかしい。
”乗越”から19分で ”摩利支天”(2,959m)に着く。
ヤセ尾根の一番端であり、手前の岩峰の方が標高が高い様に思えた。
”摩利支天”の山頂には三角点もあった。
前方に見えているのが標高的に高いのではの疑惑のある岩峰。
”摩利支天”に到達して、今日の目的は達成した。
後は下山するだけ。 のつもりであったが・・・
”三ノ池分岐”に戻り ”三ノ池”に下ろうと思うが、標識方向に
踏み跡がまったくない。 先駆者になろと思ったが、余りの急斜面に
足がすくんでしまう。 しかも雪面には2本の亀裂が入っていた。
安全の為、諦めて ”二の池”に戻ることにした。
歩き出して諦め切れず、やはり ”三ノ池”に下りたいと思い、
比較的緩い斜面を探し、登山道が見える方向に下り始める。
最初のきつい斜面は斜めに折り返しながら下り、
斜面が緩くなってからザクザクと下る。
踏み跡は自分だけのものしかない。
どんどん下っていくが斜度が再び半端で無いほどきつくなってきた。
雪が緩みアイゼンが効かなくなってくる。 5m程の軽い滑落をするが、
腕力で止め切った。 滑落とは大げさであり、偶発的なシリセードと
思った方が良いかも・・・
斜度のきつい中、雪面が緩みまともには下れない状況になってきた
ので、ストックを短くしてピッケル代わりにしてシリセードをする。
結果は止めることが出来ずにそのまま滑落。 滑落開始箇所は、
この立ち木の遥か上、立ち木の間を通る時には軽くジャンプした。
滑落を止められたのは傾斜の緩くなったここ。 滑落中、本人はかなり
落ち着いており、帽子、メガネを飛ばされない様に手で守った。
面白いのは滑落中のデータがGPSに残っていることで、かなりやばい状況だったことが判った。 データーによる計算では最大斜度45°で
あるが、これは多分ジャンプした時のものだと思う。
本来、この残雪の下に登山道がるのであろうが、登山道はまったく
確認出来ず、踏み跡もまったくない。 遠くを見ると登山道らしき
ものが見えたが、登り方向に伸びている。 それに頼るしかないの
だが、そこまではトラバース出来ない急斜面が続いている。
一端下って緩やかな斜面を登り直すが、その間にも数回、小さく
滑落した。 その頃は滑落慣れをしてしまっていた。
これは遭難だな!」と一人不安になっていた。
残雪帯を4つトラバースして見えていた登山道に辿り着くと
R・Wへの方向表示があり、これで助かったと一息付けた。
登山道は一端登った後は下りとなっていた。 ここまでの踏み跡もあり、安心して辿っていくと、また残雪トラバースの連続が待っていた。しかし、斜度は緩く、問題なく横切ることが出来た。
程なく、八合目の ”女人堂”が見えて来た。 まだまだ残雪のトラバースが続く。
”摩利支天”から3時間20分、登り始めて10時間06分にて八合目に戻り、
アイゼンを外して登って来た道を登山口に戻る。
おんたけさん
遥か上方に2つの山小屋が見えて来た。 荷揚げのヘリの姿も見えた。
摩利支天(2,959m)
”三ノ池コースで ”女人堂”へ下山する。
2023年12月16日改定